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長塀の保存修復について

 八代市にある国名勝「旧熊本藩八代城主浜御茶屋(松浜軒)庭園」、通称松浜軒の東側を囲む長塀は、近年、樹木等の影響で通学路にもなっている歩道側に塀の一部がせり出して倒壊するおそれが高まっています。

 今回修理を行う長塀は、国指定名勝を構成する建造物の一つです。国指定文化財の修復にあたっては、長年保たれてきた歴史的価値を損なわないよう慎重な検討が必要となります。そのため、私たちは、文化庁や熊本県文化課、八代市文化振興課ならびに建築史や庭園文化遺産等の専門家の助言を受けながら、令和6年度中の修理完了を目指して、長塀の調査や基本設計等の策定を進めております。

 しかし、長塀の修理には多額の経費が必要となります。現在、文化庁と八代市の補助を受けて修理計画を進めていますが、残念ながら、まだまだ修理に必要な費用を集めることができておりません。 松浜軒創建以来、その保存に尽力してきた先人たちに恥じない、また未来の八代の人々に誇れるような、できるかぎりの最善を尽くしたいとの私たちの思いをお汲み取りいただければ幸いです。

長塀保存修復の概要

  • 文化財建造物修理の専門業者(文化財建造物主任技術者)に、長塀の基本設計等策定や修理時の監理を委託します。
  • 基本設計等を策定するため、長塀の歴史や構造を調べます。塀を一時解体しながら、材料、工法を調査します。
  • 長塀の一時解体後、塀周辺の樹木の伐採等を行い、塀が湾曲した原因を除去します。
  • 文化庁や建築史の専門家の助言を受けながら、文化財建造物主任技術者の監理監督の下、各種調査の結果に基づき、修理の工法・材料を検討します。
  • 一時解体した長塀のうち、使用できる材料はそのまま使用し、破損している部材も可能な限り修理して使用します。新材に取り換える必要がある部分については、各種調査の結果に基づき、可能な限り長塀建設時と同じ材料・工法を用いて修理します。
  • 解体・修理、検討過程等を記録した報告書を作成し、公開します。